
スマホのスナップ1枚から、AI商品写真一式と10秒の商品動画をつくった
机の上に、ブランド名のない琥珀色のガラススプレーボトルがある。香りを小分けするのに使っていたものだ。それをスマホで1枚だけ撮って、その1枚だけで商品ページに載せられるAI商品写真が一式そろうのか、ついでに短いAI商品動画までつくれるのかを試した。
スタジオなし、ソフトボックスなし、カメラマンも呼んでいない。以下がその全工程で、うまくいかなかった2箇所も書いてある。
スナップ1枚に足りていないもの

木の机、絡まった充電ケーブル、飲みかけの冷めたコーヒー、天井灯が落とす硬い影、そして全体にかかった黄緑のかぶり。多くの小規模販売者が実際に手にしているのは、こういう写真だ。
足りていないのは解像度ではない。背景が雑然としていること、光に方向がないこと、他の商品写真と並べたときに比率が揃わないこと。この3つはちょうど、いまのAI商品写真がいちばん安定して解決できる部分でもある。
元素材に求められる条件は3つだけ。被写体が全部写っていること、ぶれていないこと、影に沈み切っていないこと。これを満たせばスマホのスナップで十分だ。
最初の一歩は生成ではなく、切り抜き
先に結論を書くと、背景の切り抜きはこの工程でいちばん心配のいらない部分だった。

左が元画像、中央が切り抜き結果、右はガラスの縁をピクセルが見えるまで拡大したもの。透明のオーバーキャップはそのまま残り、縁に白フチもギザつきも出ていない。ガラスと透明プラスチックは切り抜きが破綻しやすい素材の代表格だが、今回は一発で通った。この工程は 背景除去 を使っている。
ただ拡大してみると別の問題が見えた。元画像の黄緑のかぶりが、そのまま切り抜きについてきている。切り抜きは被写体と背景を分けるだけで、色は直さない。つまりこの透過画像は完成品ではなく、以降のAI商品写真すべての基準になる1枚だ。
背景より光:場所ではなく光を書く
基準ができたので、AI画像生成 で商品ページに最もよく使われる4パターンを出した。

左上は純白の主画像。平坦な光に右からの起こし、底に小さな接地影。モールの主画像はだいたいこの形だ。右上はベージュの石の上に低い角度の暖色逆光で、影が長く伸び、ガラスの右縁に金色のリムが乗る。左下は暗い背景に片側からの硬い光で、左半分は暗部に沈む。右下は生活シーン寄りで、大理石のカウンターにユーカリを数本。
ここで最も役に立った経験はこれだ。シーンと光はセットで書く。「石の台の上に」だけ書くと、台と方向のない光が返ってくる。「右上からの暖色の低い逆光、影は左に伸びる、ガラスの右縁に金色のリム」と書いて、はじめて上の1枚になる。光の方向、硬さ、色温度は、背景に何を置くかよりもAI商品写真を大きく左右する。
とはいえ光の位置指定が毎回通るわけでもない。黒いアクリルの鏡面でもう1枚試し、光は左から、影は右に落とすよう指定した。鏡像はきれいに出たが、床の明るい部分は左のままで、影はほとんど見えなかった。この1枚はボツにした。
手を画面に入れる
商品ページには「手に持つとどのくらいか」の1枚が要る。そして手は、AI商品写真がいちばん馬脚を現しやすい場所でもある。指がくっつく、1本多い、関節が逆に曲がる。

拡大して数えてみた。指は5本、関節の曲がる向きは正常、爪の長さも揃っていて、親指の付け根の皮膚のしわまで入っている。一発で通り、撮り直しなし。
失敗の記録:文字は通った、キャップは通らなかった
画像生成モデルは読める文字を書けない。これはもう決着のついた事実として扱ってきたので、今回ついでに検証した。

「LAVENDER MIST / 50 ml」は綴りが完全に正しく返ってきた。中国語に差し替えても — 薰衣草喷雾 / 净含量 50 毫升 — 9文字すべて一画も崩れていない。短いラベルの分量なら、この通説はもう賞味期限切れだ。
本当に壊れていたのは別のところで、しかも危うく見落とすところだった。

いちばん左が元画像のキャップで、肩が角ばっていて筒はまっすぐ、天面は平ら。その右の4枚が完成カットだ。キャップはすべて丸天面に変わり、しかも高さも幅も4枚とも違い、中のノズルの形まで毎回変わっている。
ガラスの色、ラベルの位置、背景、ライティングといった「大きい」要素はよく守られている。崩れるのはこの手の構造的なディテールで、描き直すたびに少しずつずれていく。実在する商品ではこれが効いてくる。届いた現物が主画像と違えば、低評価が1件つく。
対処法は雑だが効く。キャップが実物にいちばん近い1枚を選んで唯一の基準として固定し、残りのAI商品写真はそこから作り直す。毎回ゼロから生成しない。
静止画から10秒のAI商品動画へ
石台のカットを確定フレームにして 始点・終点フレームから動画生成 に通し、10秒のAI商品動画を出した。

プロンプトには2つ書いた。とてもゆっくり寄ること、そしてサイド光が右から左へ流れて影が短くなること。実現したのは前者だけだ。寄りは非常に安定していて、ボトルの形もラベルの比率もガラスの色も200数十フレームの間まったくぶれない。一方で光はほぼ静止していて、影の長さは最初と最後で同じだった。
この結果はむしろ受け入れられる。AI商品動画でいちばん困るのはカメラが動く間に被写体が変形することで、カメラがおとなしいのは安い保険だ。カットが足りなければ、同じ確定フレームから何本かAI商品動画を出してつなげばいい。
全部でどれだけかかったか
スナップから素材が揃うまで、実測で40分あまり。その半分以上は生成待ちと取捨選択の時間だった。やり直しは2回だけ。黒い鏡面のカットは光の位置が合わず、出し直してもやはり合わずに放棄。キャップのずれは全部出し終えてから気づいたので、背景4枚分がまるまる無駄になった。最初に基準を固定していれば、この1周は省けたはずだ。
ついでに書いておくと、この工程で「審美眼」が要るのは1箇所しかない。どのカットを基準にするかを選ぶところだ。あとはひたすら反復作業になる。
うまく撮れない商品が手元にあるなら、出発点は私のスナップより上等である必要はない。静止画は AI画像生成、動画は AI動画生成 が担当する。1つの商品の十数枚のAI商品写真と数本の動画を並べて見比べたくなったら、まとめて 生成キャンバス に放り込めばいい。どれを残してどれを出し直すかは、ひと目で分かる。